スマートウォッチの心拍計で心臓の異常な動きを98%検出できる研究論文が発表!心筋炎に罹ったことがあ…

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心臓の異常な動きを98%の感度で検出可能な研究が発表!健康的な生活にスマートウォッチの有効活用へ


昨今、日本だけでなく世界的にも自身の健康への関心が高まっており、運動量や食事量を記録する「スマートウォッチ」などのウェアラブル製品に注目が集まっています。

今のところ世に広く出回っている製品は、あくまで“ライフログ”として記録するだけの域を達していないことが多いのが現状ですが、一方で心拍数を計測できるスマートウォッチ「Apple Watch」などで心臓関連の病気が見つかったなどというケースも出ています。

ライフログを記録するだけでも生活習慣を見直せ、ケースによっては健康な生活へ役立つこともあるとは思いますが、現在はこういったウェアラブル製品で直接なんらかの病気を見つけられるような時代の第1歩の段階にあると感じています。

そんな中、スマートウォッチを利用して「心臓の異常な動きを98%の感度で検出できた」と発表した研究論文の概要を目にしましたので、以前に心筋炎に罹ったことがある筆者から見た研究内容を紹介してみたいと思います。

紹介するのはカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームがAmerican Medical Association(AMA)が発行する医療系論文誌「JAMA Cardiology」に発表した研究で、スマートウォッチの計測データとディープラーニングを活用して、心臓の異常な動きである「心房細動(AF)」を検知しようという試みです。

心房細動とは通常、心臓は1分間に50〜100回ほど拍動するのですが、心房細動になると1分間の拍動が300回以上になり、速いだけでなく不規則に拍動するようになります。

心房細動の頻脈(心拍数が高い状態)や不整脈(不規則な状態)そのものが直接命に関わることはないのですが、その結果、心臓の収縮機能が低下して心不全になったり、心臓が血液を全身に送り込む能力が低下して、心臓の中で血液が固まりやすく、血栓ができやすい状態になるなどの合併症を引き起こしてしまう場合があります。

特に血栓ができた場合、血液とともに流れ、脳の血管で詰まってしまうと脳梗塞を引き起こしてしまいます。これらから分かる通り、心房細動は放置すると非常にリスクが高い症状なのですが、上記のように心房細動だけであれば、本人が自覚するような症状が出ないこともあります。

研究ではそういった危険性を対処するために、スマートウォッチを活用しようと試みたわけです。筆者自身も過去に心筋炎とう心疾患に罹り、心房細動を引き起こした経験があります。そんなこともあって、この研究に強く引かれました。

例えば、Apple Watchなどでは心拍数を計測できるのですが、これはフォトプレチスモグラフィーという手法を使って計測しています。この手法は、血液は赤色光を反射し、緑色光を吸収するから「赤」という非常にシンプルな性質を利用した仕組みで、緑色LEDと光の強弱を感知するための感光性フォトダイオードを組み合わせて動作します。

原理としては、心臓が鼓動して手首を流れる血液の量が増えることにより、緑色光が多く吸収されるタイミングと、鼓動がない間に血流量が下がり、緑色光の吸収量が減るタイミングをそれぞれ検知することで、心拍数を計測しています。

筆者が持っているHuawei Technologies(ファーウェイ)のスマートウォッチ「HUAWEI WATCH 2」も同じ手法で心拍数を計測しており、スマートウォッチに搭載されている心拍計の多くはこの手法を用いています。

しかしながら、スマートウォッチの心拍数計の計測は医療器具と比べて正確性には欠けますし、ただ計測するだけでは、医学的根拠がありません。実際、Apple Watchなどを利用している人も心拍数を計測しているものの、おおよその心拍を把握する程度で、具体的にそれがどうなのかというところまで認識している人は多くはないのではないでしょうか。

この研究では9750人の被験者と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校で心拍にタイミングを合わせて低〜中エネルギーの電気ショックを心臓に与え、速い拍動(心室頻拍・心房細動)を正常な調律に戻す治療法、カーディオバージョンを受けた51人の患者のデータをディープラーニングを用いてデータを分析したところ98%という高い感度で検知することが実証されました。

さらに研究ではカーディオバージョンを受けた別の患者が申告した心電図の結果と、今回の実験で得られたデータから規則的な関係がないか、探索的分析を行ったところ検知感度が67.7%に低下した結果が得られたということです。

今後、さらなる研究を行うことで、マートウォッチが心拍数管理に対する最適な役割の特定に役立つと結論付けています。

筆者としては、スマートウォッチでの心房細動検知が確実となれば、循環器疾患に関する分野は一気に発展すると考えています。スマートウォッチは医療器具と違って非常に手軽に装着できてかつ、スマートフォン(スマホ)と連携させて常時データをクラウドへ集約する容易さが段違いに良いです。

さらに価格も一般消費者で手が届きやすいという点も非常に大きいポイントで、医療器具を装着しなくてもスマートウォッチだけで自身の命に関するリスクを低減できれば、より長生きすることができるのではないでしょうか。

ただ、一部では管理社会がやってくるのではないか、データと保険会社が絡んでくるのではないかなどと危惧する声も挙がりそうですので、技術的や医学的な壁の他にもいろいろな壁がありそうですが、まずは健康な生活ができるような直接病気につながるようなことがいち早く発見できるようになって欲しいところです。

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記事執筆:YUKITO KATO

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・Passive Detection of Atrial Fibrillation Using a Commercially Available Smartwatch | Atrial Fibrillation | JAMA Cardiology | JAMA Network
・心房細動 – 日本不整脈心電学会
・心拍数。その意味と Apple Watch での表示方法。 – Apple サポート
・審査に必要な方法論の知識 | eラーニング|福岡臨床研究倫理審査委員会ネットワーク RecNet Fukuoka
・ 心臓再同期治療除細動器治療(CRT-D) 用語集 – Boston Scientific

(引用元:livedoor news)

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