日大選手がタックル以外にも指示されていた悪質な「パワハラ」の実態

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一向におさまるところを知らない日大アメフト部による危険プレー問題。監督・コーチからの指示があったのかなかったのかという点については、指示があったとする選手側と、指示の意図を誤解されたとする監督・コーチ側の見解とは、平行線のまま食い違っています。

そんななか、あまりに些末すぎて放置されていますが、誤解のしようがない指示によって行なわれた「パワハラ」が、目に見える形で選手と監督・コーチとの間に存在しています。選手側が提出した陳述書にある記載では、5月5日の出来事として「髪型を坊主にしてこいと指示された」とするものがあります。実際に会見に臨んだ選手の髪は坊主になっていますが、これは一体何のための指示だったのでしょうか。およそアメリカンフットボールの能力向上とは無関係の「パワハラ」に相当する指示ではないのでしょうか。

悪質なタックルについては、「潰せ」という指示の理解に乖離があったとする監督・コーチ側ですが、髪型に関してはどのような表現で選手の誤解を生んだのでしょうか。あるいは、体育会の運動部員たる者、髪型を坊主で強制されるのは当然のことであり、まったく「パワハラ」であるという認識などないということでしょうか。この点を誰も問題視しないことからすると後者なのではないかと思われますが、この1点から見ても、現代の感覚とまったく「乖離」しているのは、監督・コーチ側なのではないかと指摘せざるを得ません。

大学生にもなって坊主頭を強制されたというエピソードでは、大相撲の人気力士・遠藤関のものが印象的です。遠藤さんは大学4年時の大学選手権に臨むというタイミングでパーマをかけたそうなのですが、それが指導陣の逆鱗に触れ、坊主頭にさせられたといいます。当時のニュースでは遠藤さんほか部員一同がツルツルの坊主頭でおさまった記念写真が掲載されています。

結局、大学4年時に坊主頭にしたことで、角界入り後も幕内昇進の時期までまげが結えないという状況になった遠藤さん。これは遠藤さんにまつわるほのぼのエピソードとして語られることも多い逸話ですが、改めて考えると「何故パーマを当ててはいけないのか」「何故坊主にさせられなければならないのか」「何故部員一同が坊主頭なのか」という、現代の感覚では承服しかねるパワハラの横行を感じさせる逸話です。

遠藤さんが当時所属していたのが「日本大学の相撲部」。その相撲部を率いていたのは、日大の現・理事長であり、現在も日大相撲部総監督を勤める田中英寿氏です。遠藤さんは2014年6月29日にTBSで放送された「情熱大陸」において、田中氏の奥さまが経営するちゃんこ屋に赴き、当時の思い出を語り合っていました。にこやかに笑いながら「坊主にさせられちゃったんだよねアハハ」と語る田中夫人と、複雑な表情でうなずく遠藤さんの姿は、今にして思うと「ほのぼの」以外の受け取り方をせざるを得ないものです。

田中氏は日大アメフト部前監督・内田氏の後ろ盾と言われる人物ですが、学生を預かり指導する側の人々、ナンバーワン・ナンバーツーと称されるような上層部の人々に、パワハラをパワハラと認識できない前時代的な考え方が根深く残っていることが、「髪型」ひとつをとってもうかがい知れるのではないでしょうか。この体質のなかでは、どのような指示があったとしても選手は従わざるを得ないのではないか、そのように思われるのです。

・文=フモフモ編集長

(引用元:livedoor news)