老いに対する意識を変えたい!現役介護福祉士兼モデルの上条百里奈さんが語る介護とは

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少子高齢化社会を迎えた日本では、高齢となった両親らの介護が社会問題化しつつある。総務省統計局によると、日本の総人口に占める高齢者の割合は2018年に28.1%となり、2040年には35%を超える見込みだ(※)。親の高齢化に伴い、子供たちも当然高齢化し、親が90代で介護している子供が60代半ばという老老介護の問題。さらには8050問題で50代の引きこもりの子供の面倒を見ている80代の親に介護が必要となってしまうといった介護だけでなく様々な問題が複雑に絡み合ってしまうことで問題解決を難しくしている。
※統計からみた我が国の高齢者−「敬老の日」にちなんで−

■現代日本が抱える様々な問題を学び考えていく番組
こうした状況を踏まえ、日本の未来を支える学生たちと共に、日本の福祉や介護について学び考えていく番組がBSフジの『にっぽんの要 〜わかる・かわる 介護・福祉〜』 だ。同番組では、俳優の要潤さんと、介護福祉士の資格を持つモデルの上条百里奈さんがレギュラーで出演し、介護や福祉にまつわる最新の情報や話題をお茶の間に届ける。

今回、同番組に出演している上条百里奈さんにインタビューする機会を得たので、介護福祉士になった経緯や介護への思いを聞いたので紹介しよう。

■介護は一緒に未来を想像していく仕事
―介護の現場が現在までにどのように変わってきたのか教えてください。
上条さん:日本は数十年前まで、認知症の方に人権はなかったんですよね。当たり前に牢屋みたいな病室の精神科に入れられたり、男女も一緒にお風呂に入れられたり。おむつ替えのときも個室でなく、その辺の廊下でおむつを脱がされるという扱いが当たり前の常識だったというのが、本当にごくごく最近までの話なんです。

私がはじめて介護の現場に行った16年前も、そこまでは行かなくても、それに近いような現場も確かにありました。介護される側の人々が悲しい思いや辛い思いをしてきて、今ようやく認知症人権が尊重されるように一人ひとりと向き合うケアに変わってきました。それも時代の背景とともに感じているし、認知症の方々の人権)を守れるのが介護職だとも思っているんです。私が今働いている事業所では、ドアに鍵を掛けないんですよね。

―徘徊されると困るのでドアに鍵を掛けるイメージはありますよね。
現在は在宅で暮らす高齢者を地域を使ってサポートする事業所で働いています。施設では安全面の配慮からまだ難しいかもしれませんが、そこは、地域で暮らす高齢者の「外に出かける」というご自身の当たり前の権利を守っているんですよ。認知症の方がフラフラ外に出て行ったら、徘徊だと思う人もいるかもしれませんが、ただのお出かけです。気分転換や考え事をしたいのかもしれません。(私たちはその人の生き方を学びながら、お出かけに同行させていただいています。

―ひとりひとりにそれぞれ着いて行かれるのですか?
基本的にはそうです。外に出られる自由というのは当たり前の人権としてあるはずなのに認知症だからという理由でその権利を奪ってしまうのは、介護職だからこそやりたくないのです。こういった小さな希望を一つひとつ叶えていける環境が、うれしいなって思っています。

介護をすると、人生の大先輩とたくさんの対話をします。これまでどういう人生を歩んできたのか、今はどんな生活をしてこれからどう生きていきたいのか、自分もその方の人生の環境因子となりながら一緒に未来を創造していく仕事です。そして最期にお看取りをします。もちろん悲しい気持ちや寂しい気持ちもありますが、物語がやっと完成されたような、映画を1本見たような気持ちになるんです。高齢者は人生のクライマックスを生きる人。最期の大事な時間を共に過ごし、それを一番近くで見られるのが介護職の特権だなと思っています。