風力発電所の近くで五輪をやることの無茶が露呈した平昌五輪

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平昌の強い風が世界中の選手を苦しめています。10日に行われたスキージャンプ男子ノーマルヒルでは、強風による一時中断が相次ぎ、結局試合が終わったのは午前0時を回ってからでした。さらに、アルペンスキーやスノーボードでは競技の順延や中止が相次ぎ、選手が人生を懸ける舞台としては非常に不満足なものとなっています。

特にあおりを受けたのがスノーボード女子スロープスタイルの選手たち。11日に予定されていた予選が悪天候のため中止になったばかりか、12日に行なわれた決勝も強風によって極めてコンディションが悪く、跳び上がったあと風にあおられてバランスを崩す選手が続出しました。

さらに不運だったのがスタートリスト後半の選手で、風向きが向かい風に変わったタイミングで試技に臨んだ選手は、風を受けて試技途中で急激に失速し、ジャンプ台を越えられない、越えても次の下り斜面まで届かないという状態になってしまいました。日本の鬼塚雅選手も試技途中で向かい風によって不可解な失速を見せ、上位進出は叶いませんでした。

しかも、このスロープスタイルという競技は本来であれば「3本の試技を行ない、ベストスコアで勝負」という仕組みであったにもかかわらず、悪天候の影響によって「2本の試技を行ない、ベストスコアで勝負」という形に短縮されてしまったのです。

これは野球で言えば、急に「今日は2ストライクでアウト」と言われるようなもの。1本目の試技で好結果を出せなかった選手は、悪化するコンディションのなか、非常にプレッシャーがかかる2本目の試技に臨む格好となりました。予選が中止になっていることも考え合わせると、五輪で挑む最初の試技の成否が勝敗を大きくわける形となっており、特に五輪初出場の選手などには厳しい条件だったと言えます。

もともと平昌は風が強い地域で、スキージャンプやスノーボードの競技会場であるアルペンシアスキージャンプセンターの近くには、風力発電の施設があります。風力発電を行うほど一年を通じて安定した強い風が吹く地域で、風によって大きな影響を受ける競技の大会を実施するのは、そもそもの設定としてアスリートファーストの視点を欠いていたのではないでしょうか。

気まぐれな風によって4年に一度の舞台を満足に戦えない選手たちがこの先の競技でも出るかと思うと、非常に残念でなりません。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)

(引用元:livedoor news)

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