9日、サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が解任されました。本大会まで2カ月という時期での電撃的解任は、何故今頃になって解任するのかと、時期の遅さを指摘されても仕方ないものです。
しかし、改めてスケジュールを振り返ると、解任を検討し、決断できるタイミングは今しかありませんでした。
日本代表を含め、各国の代表は国際サッカー連盟(FIFA)が定める年間のカレンダーに沿って活動しています。特に重要なのが「国際Aマッチデー」と呼ばれる期間です。年間で数回設定され、2試合ずつを組むことができる国際Aマッチデー期間は、A代表選手を拘束する権利が各国の協会にあります。そのため、この国際Aマッチデー期間にあわせて、各大陸のワールドカップ予選や大陸選手権予選などが組まれることになるのです。
限られた試合数でワールドカップ予選などもこなしていくため、いわゆる強化試合を組む日程上の余裕は少なくなっています。また、それぞれの国際Aマッチデー期間における2試合は同一の大陸で行なうこととされているので、国際Aマッチデー期間に1試合しかワールドカップ予選が組まれないタイミングでも、「もう1試合は欧州に行って、アウェーで強豪と対戦」といった日程を組むことはできなくなっています。
ハリルホジッチ監督就任後、アジア大陸予選終了までに欧州の国と対戦したのは、2016年の欧州選手権の期間に組んだブルガリア戦とボスニア・ヘルツェゴビナ戦のみ。解任までの全日程を見ても、2017年11月のベルギー戦、2018年3月のウクライナ戦を加えた合計4試合しかありません。また、南米の国との対戦は、アジア予選終了後の2017年11月に行なったブラジル戦ただ1試合だけです。
本番のワールドカップで壁となる欧州・南米というサッカーの本場の国々と、ほとんど対戦することなくハリルホジッチJAPANは歩んできたのです。それはすなわち「ワールドカップ本番で結果を出せそうかどうか」を見定める機会がほとんどなかったという意味です。
その意味で、欧州大陸予選・南米大陸予選の結果が出始め、予選突破を決めた国やプレーオフ進出を逃した国との国際Aマッチを組むことができるようになった「2017年11月6日から11月14日」の期間こそが、ようやく本番への見定めができるようになった期間であり、本大会までの時間を考えれば「解任するかどうか」を検討する最後のタイミングでした。
しかし、日本代表はそのタイミングでブラジル代表・ベルギー代表という負けて当然の強豪国と対戦してしまった。そのことにより、本大会で期待できそうかどうかを見定めることができないまま、次の国際Aマッチデー期間である「2018年3月19日から3月27日」を迎えることになってしまったのです。そして、その期間にマリ代表・ウクライナ代表にしたたかにやられ、解任への急展開となったのです。
もしも、ブラジル戦・ベルギー戦とマリ戦・ウクライナ戦の日程が逆であったなら、もっと早く本大会の指揮を託して大丈夫かどうかを日本サッカー協会も見定められたはずです。解任するかどうかを検討する最初で最後のタイミングに「負けて当然」の相手と戦ってしまったことが、本大会2カ月前の電撃的解任を引き起こした、マッチメイクの失敗と言えるのではないでしょうか。
・文=フモフモ編集長
(引用元:livedoor news)
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