楽天の2020年度第1四半期決算説明会および戦略共有会が実施! |
楽天は13日、オンラインにて「2020年度第1四半期決算説明会」および「戦略共有会」を実施し、2020年度第1四半期(Q1)は売上収益3,314億円(前年同期比+18.2%)およびNon-GAAP営業利益△181億円(前年同期比△1,361億円)の増収減益となったと発表しています。
特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について各事業ごとに影響を説明し、楽天グループとして多岐に渡る事業を展開していることによってプラスとマイナスがうまく相互に補完して安定した運営ができているとしています。
また4月8日にスタートした移動体通信事業者(MNO)として自社回線を構築して提供している携帯電話サービス「楽天モバイル」( https://network.mobile.rakuten.co.jp/ )の正式プラン「Rakuten UN-LIMIT」の状況についても決算説明会でも多くの時間を使ったほか、戦略共有会でも説明が行われました。
その中で楽天 代表取締役会長兼社長および楽天モバイル 代表取締役会長兼CEOの三木谷浩史氏は「目標としては楽天モバイルの利用者が楽天市場や楽天カードなどを使うことで、実質的には無料期間が終わった後も携帯電話が無料で使えるということが実現できると思う」としました。
同氏はそういった認知が共有されていけば、楽天グループにおけるシナジーが高まってくるとして「今後は楽天モバイル向け特典なども考えていきたいと思っている」と語り、まだはじめたばかりなので楽天モバイルとのシナジーは早いと前置きしながらも「楽天エコシステム」の拡大に寄与が期待されると紹介しました。
楽天モバイルではMNOだけでなく、これまで提供してきた仮想移動体通信事業者(MVNO)による携帯電話サービスや楽天ひかりなどの固定サービスなども提供しており、2020年Q1に楽天モバイルの営業収益は392億円(前年同期比+54.7%)、営業利益は△318億円(前年同期比△251億円)となっています。
中でも4月8日に開始されたRakuten UN-LIMITについては新型コロナウイルス感染症の問題がありつつも順調にオンラインで申し込みがされており、楽天モバイルショップを休業していたこともあってオンラインの申込率が96.5%に達しているとのこと。また今後はオンライン本人確認「eKYC」を導入予定だということです。
自宅から決算説明会に参加した三木谷氏
具体的な現時点での契約数などは明らかにされませんでしたが、三木谷氏は「予定通り」とした上で楽天モバイルのMVNOの利用者は1年以内に70%が乗り換えるという見通しを示して「楽天カードはスタート時点に1日50件だったものが、現在は1日1万件前後の申し込みがあるが、楽天モバイルでもこれと同等程度が最低でも獲得できるのではないかと思っている」とコメントしました。
その中で同氏は「(損益分岐点は)700万契約を見込んでいる」とし、それまでは「大きな赤字が出る」ことも示され、前述のように300万人までは1年間無料で使えるキャンペーンが終わっても「実質的に無料で使える」ような認識が広がることで、1年後以降も使ってもらえるようにしていきたいとしていました。
そうしたことが実現できるように重要なエリア展開については、3月末時点で基地局数は当初計画では3432局としていましたが、稼働している基地局数で4738局となり、設置契約をしている基地局数も4555局あり、トータルでもうすぐ1万局となるとのこと。
実際にTwitterでポジティブ、ニュートラル、ネガティブな投稿の比率を見てみると、当初に比べると数分の1程度にネガティブな内容が減っていることが紹介され、前倒しで基地局を設置できていることから早めにパートナー(au)回線エリアによるローミングを減らすためにも2021年3月時点で今年3月時点では全国とだけ示されていましたが、人口カバー率70%を計画していることが紹介されました。
一方、サービス開始から1ヶ月が経ち、やってみて世界初の完全仮想化技術による携帯電話ネットワークに自信を見せ、利用量が他社と比べてデータ通信量で2.5倍、RCS準拠の楽天Linkによる通話が他社のVoLTEと比べて2倍となっており、これらを安定して提供できていることに加え、速度制限時の最大速度の変更などの拡張性や柔軟性は「他社には真似できない」としていました。
さらにこれらの基地局は「5G Ready」だとし、5Gの導入も一気に進めるとしていました。ただし、すでに発表されているようにインドでの5G NR方式に対応したソフトウェアの検証作業が遅れているため、5Gの導入は当初予定していた6月から約3ヶ月延期されます。
5G対応のアップデートは物理設計は計画通り進行しており、OpenRAN用無線ハードウェア設計は完了しているため、Sub6・ミリ波(mmWave)に対応したOpenRANは製造を開始しているとし、5GコアNSAのテストと検証は完了していると説明されました。
なお、5Gに対応したOpenRANのハードウェア設計はSub6についてはNECと、ミリ波についてはAirspanおよびQualcommとパートナーシップを結んでそれぞれハードウェア設計を行い、Sub6については日本で製造を行っているとのこと。またミリ波用は屋外Wi-Fiユニットのコストレベルを達成し、配電柱や電信柱などに配置可能。
こうした完全仮想化技術による携帯電話プラットフォームは今後、楽天モバイルで利用するだけでなく世界に提供していく考えを示しており、三木谷氏は「(Amazonにおいて収益の大半となっている)AWSのような存在になる」とし、クラウドサービスであるAWSと違って基地局の設置は必要なものの、完全仮想化技術によって「日本の通信事業者が世界のメインプレイヤーになる可能性がある」と説明しました。
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(引用元:livedoor news)