KDDIが震災からの7年間で積み重ねた取り組みを公開! |
KDDIは8日、東日本大震災から7年を迎えた3月11日を前に地方でははじめてとなる携帯電話サービス「au(エーユー)」などの同社における災害対策の公開訓練を宮城県内で実施し、その内容を関係者やメディア向けに公開しました。
震災当初に抱いた悔しさをバネに、KDDIとして「お客様に寄り添った対応」がどのように提供できるのか……同社の東日本大震災から積み重ねてきた取り組み内容が確認できた訓練となりました。今回はそんな訓練内容をレポートします。
この7年間で「陸」「海」「空」からのアプローチが可能に
KDDIによれば、東日本大震災が起きた7年前、震災直後に行えた対応は陸路経由の内容に限られたとのこと。主には車載型基地局や可搬型基地局、電源車の出動で、津波や地震で陸路が寸断された地域への対応が課題として現れました。
水や電気と同じ「ライフライン」として今や欠かすことができない通信の早期復旧は、被災地にも被災地以外にも安心を届けることに繋がる。こうした考えから、KDDIでは災害発生時の対応を多様的に行えるよう対策に取り組んできています。
また2013年11月には防衛省と(自衛隊各方面隊と協定を締結する際のベースとなる)協定を締結。その後も2015年3月に海上保安庁、2017年2月にはUQコミュニケーションズ(以下、UQ)、そして2018年1月にイオンとも協定を締結しています。
これにより、災害時の通信確保を「陸」「海」「空」と複数でアプローチでき、かつ避難所などでも安定した通信環境が早期に確保できる仕組みを整えてきました。
そして、今回の訓練もそんな「陸」「海」「空」の3方面からのアプローチを組み込んだ内容となり、災害発生時の初動から通信エリア普及、避難所支援、さらに避難所生活の長期化を想定した次世代移動通信(5G)の活用例までが順に公開されました。
災害発生時の初動に活用する大型車載基地局
訓練でまず登場したのは大型車載基地局。緊急車両指定がされており、赤色灯をともせば優先走行が可能。災害発生の初動時にいち早く現場へ駆けつけ、ネットワークの復旧を試みます。
自衛隊員と協力して荷物を積み替える
可搬型基地局と作業員を積み現場へ
通信障害が発生した地域の中には悪路により通常車では現地に入れない場合も。こうしたシーンを想定して次に公開されたのはKDDIと自衛隊の協力による可搬型基地局の運搬・設営でした。
KDDIの車両に積載された可搬型基地局を自衛隊との合流地点で自衛隊車両に積み替えし、悪路を乗り越えて現場へ向かいます。
可搬型基地局は一般的なトラックやヘリコプターにも積載できるようにサイズや運搬容器にも工夫がされているとのこと。実際訓練でもかなりスムーズな流れで積み替えが進んでいました。
自衛隊のヘリから降りてきたKDDIの作業員
トラックの荷台を船上と仮定してネットワーク復旧にあたる
続いては震災当初にできなかったという「海」と「空」からのアプローチ。津波による被害で陸上からのアクセスが困難な沿岸部、および沿岸部から距離の近い内陸部を対象として、船上基地局とドローン基地局によるネットワーク復旧が進められます。
KDDI作業員がヘリコプターを使い港へ着陸。そこから船舶に乗り込み、海路で沿岸部へ。船上基地局を活用して沿岸部の通信環境を復旧させ、118番(海上における事件・事故の緊急通報用電話番号)での救助要請などがおこなえる環境を整えます。
訓練会場に展示されていたドローン基地局
基地局やカメラを搭載するが重量は約3kgに収まる
船上基地局の設置を終えたら、次は沿岸部から距離の近い内陸部を目指し、ドローン基地局を発進。空からのアプローチでネットワークの早期復旧を試みます。
ドローンではカバーエリア内にあるスマートフォン(スマホ)などの端末のおおよその現在地や数を把握したり、エリア内にある端末に向けて情報の一斉配信が可能。積載するカメラを使い映像で被災状況の確認も行えます。
またドローンを自動操縦モードにすれば、船上基地局と連携しない運用も可能。この場合は自動操縦で飛行するドローンのカバーエリア内に位置する端末間で、通信ができるとのこと。
訓練当日は悪天候を理由にドローン基地局の実飛行は行われませんでしたが、別の機会に撮影していた飛行映像にて、ドローンのカメラが届ける映像イメージが紹介されていました。
可搬型基地局を設置する様子
避難所の側には車載基地局も続々と到着
可搬型基地局、船上基地局、ドローン基地局の設置と並行し、避難所の準備も進みます。相互協力の協定を締結するイオンのバルーンシェルターが展張され、その横にはネットワーク確保のために車載基地局が展開。
公開訓練では初お披露目となったUQの車載型基地局
伸縮性のアンテナは最終的に10mほどまで伸ばされる
機材がびっしり並ぶがスペースも確保された車内
避難生活が長期化すると被災者の携帯電話の使い方も「安否・生存確認」から「情報収集」や「連絡」へと変化。衛星回線を使った小型の車載基地局だけでは通信量が賄えなくなる可能性も想定されます。
このような場面を想定して次に進められたのは避難所の回線増強。車載型基地局が複数展開し、より安定して使えるネットワーク環境が整えられていきます。
今回の訓練には「公開訓練では初お披露目」となったUQ所有のオリジナル車載型基地局も登場。車内に伸縮式のアンテナやWiMAX 2+無線機、床下に発電機を備えて、バックホール回線を用意するだけで半径1〜2kmのエリアをカバーできます。
さらに訓練ではTOHKnet(東北インテリジェント通信)がバックホール回線として光ファイバーを用意し、連携しての車載基地局展開作業が進められました。
遠く離れた場所にいる家族を5Gでつなぐ実用例
訓練では最後に次世代移動通信(5G)活用の例としてVR映像を用いたコミュニケーションを実演。避難所と単身赴任先にいる家族を“距離を超えて”つなぎます。
高速・大容量の通信実現がメリットのひとつと言われる5Gを活用することで、音声通話やビデオチャットよりも臨場感のあるコミュニケーション実現を狙った活用だとのこと。また5Gの活用に関しては他にも「ドローンの制御」や「ドローンカメラでの高解像度の映像リアルタイム配信」、「復旧作業に必要な重機の遠隔操作」など、いくつか具体的な可能性も言及されていました。
KDDIの奥山氏
訓練の閉会宣言の場で「7年前の震災発生直後、多くの方に通信を提供できなかった悔しさをみんなの胸に、今日この日まで訓練を重ねて参りました」と語ったのはKDDI理事 技術統括本部 運用本部長の奥山 勝美(オクヤマ カツミ)氏。
同氏は「時代の流れや技術の進歩に合わせて、災害対策もアップデートしていく」とも口にしていましたが、これは奥山氏だけでなく、訓練内で話を行なった各関係者とも口にしていたことでした。
これまでの取り組みを基礎として『さらにこの先に「まだできることはないか」を探っていくのだ!』という強い思いを感じました。非常時への対策についても「お客様に寄り添った対応」を考え、今できることを着実に積み重ねていくKDDI。次世代移動通信の活用も含め、今後さらにどのような進化を遂げていくのか、注目です。
■関連リンク
・エスマックス(S-MAX)
・エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
・S-MAX – Facebookページ
・災害対策・復興支援の取り組み | KDDI株式会社
・「2017 年度 KDDI 災害対策公開訓練」に参加 – ミライト(PDF)
・ミライト・ホールディングス
(引用元:livedoor news)
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