ワンセグ裁判でNHK受信契約の必要が相次ぐ!水戸などに続いて東京地裁でも |
東京地方裁判所は27日、テレビ(TV)の視聴を目的としない「ワンセグ」(「フルセグ」含む「地上デジタル放送」)対応製品の所有で日本放送協会(NHK)との受信契約を義務付けるのは不当だとしてNHKに対して契約の無効確認などを求めた訴訟において請求を棄却しました。
判決を行なった鈴木正紀裁判長は「ワンセグ機能付き携帯電話を持っていれば、契約を結ばなければならない」と述べたとされ、判決を受けてNHKでは「主張が認められた」とコメントしたということです。
ワンセグ機能付き携帯電話を巡ったNHK受信料の裁判では、昨年8月にさいたま地方裁判所での「受信契約の義務がない」とした判決の後、今年5月の水戸地方裁判所などの3つの地裁・地裁支部が契約義務を認めています。
一部報道では総務省がNHKに据置型のTVを“設置”していない場合には受信契約が不要になるよう要請を行う方針だとも伝えられていましたが、今回もということで支払いが必要な判決が続いています。なお、最も進んでいる昨年8月にさいたま地方裁判所における裁判についてもNHKが控訴しており、現在は東京高等裁判所にて争われています。
NHKのテレビの視聴が可能なパソコン、あるいはテレビ付携帯電話についても、放送法第64条によって規定されている「協会の放送を受信することのできる受信設備」であり、受信契約の対象となります。NHKのワンセグが受信できる機器についても同様です。
公式Webページ「パソコンや携帯電話(ワンセグ含む)で放送を見る場合の受信料は必要か|NHKよくある質問集」より
今回の東京地方裁判所での訴訟は、東京都葛飾区議の50歳の男性がNHKに対して起こしたもの。NHKでは公式Webページにてワンセグ機能付きパソコン(PC)・携帯電話については受信設備の“設置”に当たると主張しており、これは「放送法」における第64条に基づくものとしています。
男性は2012年7月にNHKと受信契約を一旦は結んで受信料を払ったものの、その後、ワンセグ機能付き携帯電話の所持が“設置”には当たらないとして契約の無効確認や支払い済みの1カ月分の受信料(1,345円)の返還などを求めているとのことで、今回の判決を受けて控訴するとしています。
一方でこの“設置”という言葉がTVしかなかった時代の背景を想定しているとして、言葉通り“設置”なので持ち歩けるワンセグ機能付き携帯電話は受信契約をする必要がないといった見方もあり、判決が割れています。
受信契約の必要がないとしたさいたま地方裁判所での判決では放送法2条14項にて2009年の放送法改正で追加された「NOTTV」などの携帯端末向けの放送サービスを定義した“携帯”という説明があるため、“設置”と“携帯”では区別されており、ワンセグ付き携帯電話は“携帯”に該当し、“設置”ではないとしています。
一方で水戸地方裁判所では2009年の放送法改正後も有料放送について定めた147条1項では“設置”のままであり、“携帯”が追加されていないために現時点で放送法において“設置”と“携帯”は明確に区別されておらず、第64条における“設置”にはワンセグ付き携帯電話も含まれると解釈しています。
また放送法の成り立ちにおいて制定された1950年にはラジオからも受信料を徴収しており、携帯できるものもあったことから“設置”は持ち歩ける“携帯”も含まれると判断したとのこと。なお、ラジオからの徴収は1968年で廃止されています。
このように判決が割れる状況となっていますが、そもそもは放送法の記述が古い時代背景のままであったり、NHKが定める受信契約も“世帯”ごとという現代の社会構造に合わない仕組みとなっていることが大きく影響しているものと見られます。
そのため、管轄する総務省では早期に方針を決定し、必要な場合には早期に法改正を行う必要があるように思われます。
NHKではこういったいわゆる「ワンセグ裁判」を受けて、ワンセグ機能付き機器のみを所持する場合についても受信契約の必要性を丁寧に説明するとともに、家族割引を利用するなどの納得感のある契約を行うように2017年6月より取り組んでいることを案内しています。
合わせて2017年6月より受信契約書の様式を変更し、訪問による契約終結時に設置した受信機の種類について記載することにしているとのこと。なお、家族割引は同一生計である複数の人がそれぞれの住居の放送受信契約を締結している場合などが対象で、割引先の受信料が50%割引となります。
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・訴訟:ワンセグでも受信料義務 NHK側勝訴 東京地裁 – 毎日新聞
・NHK受信料、ワンセグ携帯も対象 東京地裁判決:朝日新聞デジタル
・NHK受信料の窓口-家族割引のお手続き
(引用元:livedoor news)