フルキーボードスマホ「Astro Slide 5G Transfomer」と前機「Cosomo Communicator」ぅ

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物理キーボードスマホ勢待望の新モデル「Astro Slide 5G」をじっくりとレビュー!先代モデルとの比較を含めて気が付いたところをチェックしよう!


イギリスのスマホメーカー、Planet Computers(以下、プラネットコンピューターズ)はクラウドファンディングにて出資を募っていた5G対応のAndroidスマートフォン(スマホ)「Astro Slide 5G Transformer(アストロスライド 5G トランスフォーマー)」の本格的な出荷を行っており、3月中には大多数の出資者の元へ届けられるだろう、とアナウンスしています。

Astro Slide 5G Transformer(以下、Astro Slide 5G)は本体をスライドさせることでPCライクな物理キーボードを引き出して使うことができるスマートフォンで、実用的なサイズで打ちやすいキーボードを搭載した今でも根強いファンがいる物理キーボード搭載スマホ愛好家にとっては待ちに待った一台といえるでしょう。

前回の記事では開封からの同梱品やプリインストールアプリの紹介などをお送りしましたが、本記事では実際に使っていて気が付いたことや、先代モデルである「Cosmo Communicator」との違いなどを紹介したいと思います。【両者を比較する前にまず前提として知っておくこと】
同じメーカーから登場した物理キーボード搭載の端末ではありますが、厳密にはAstro Slide 5G TransformerはCosmo Communicatorの直接的な後継機ではありません。

Astro Slide 5Gは物理スライドキーボードを引き出すことでキーボード入力にも対応したスマートフォンであり、キーボード収納時でも、ほぼすべてのアプリやAndroidの機能を一通り利用可能ですが、Cosmo Communicatorはクラムシェルを開いてキーボードを展開した状態でのみ、内蔵の全ての機能が利用できる(通話機能をサポートした)コミュニケーター端末であるということです。

キーボード展開時はよく似ているけれども、この2機はそもそも端末のコンセプトが全く異なる端末なのです。


キーボードを収納した(閉じた)状態で電話アプリを表示したところ。(左側がAstro Slide 5Gで右側がCosmo Communicator)サブディスプレイから操作することになるCosmo Communicatorはこのままではアプリを利用できないが、純粋なスマホでもあるAstro Slide 5Gは当然ながら、このままアプリが起動できる。

【Astro Slide 5GとCosmo Communicatorをスペックから比較する】

Astro Slide 5G・Cosmo Communicatorスペック
Astro Slide 5G Transformer Cosmo Communicator
SoC MediaTek Dimensity 800 MediaTek Helio P70
動作メモリー(RAM) 8GB 6GB
本体ストレージ 128GB 128GB
ディスプレイ 6.39インチ フルHD+(2340 x 1080ドット)AMOLEDディスプレイ 5.99インチ フルHD(2160 x 1080ドット)液晶ディスプレイ + 1.91インチ サブディスプレイ
カメラ 4,800万画素リア(メイン)カメラ + 1,300万画素イン(サブ)カメラ 2,400万画素リア(メイン)カメラ + 500万画素イン(サブ)カメラ
本体外形 172.4mm(縦幅) × 76.5mm(横幅) × 18.7mm(厚さ)※キーボード収納時 171.4mm(横幅) × 79.3mm(奥行き) × 17.3mm(厚さ)※折り畳み時
本体重量 4,000mAh 4,220mAh
バッテリー容量 325g 326g
モバイルネットワーク 2G/3G/4G/5G 2G/3G/4G
ネットワーク機能 Wi-Fi (802.11a/b/g/n/ac)・Bluetooth(Ver 5.1) Wi-Fi (802.11a/b/g/n/ac)・Bluetooth(Ver 5.0)
OS Android 11 Android 9(開発コード名:Pie)
カードスロット nano SIMカードスロット×2 + microSDカードスロット nano SIMカードスロット×2 + microSDカードスロット
そのほかの機能 非接点充電(qi)・NFC・外部画面出力(HDMI)・滑り止めゴム NFC・外部画面出力(HDMI)
キーボード 5段QWERTYキーボード(53キー)※日本語モデル 5段QWERTYキーボード(53キー)※日本語モデル

基本性能としては順当なスペックアップで、SoCはCosmo CommunicatorではMediaTek製のミドルレンジ向けHelio P70から5G対応のミドルレンジSoC、Dimencity 800へと進化し、動作メモリーもアッパーミドル級スマホ並みの8GB RAMになりました。

ディスプレイまわりもディスプレイそのものが6.39インチへ大型化(本体が大きくなるのではなく、画面端のベゼルが小さくなる方向で)し、画面解像度もCosmo CommunicatorではフルHDでしたが、Astro Slide 5GではFHD+へ上がっています。

また、ディスプレイが液晶からAMOLED(アクティブマトリクス有機EL)となりましたが、発色のキャリブレーションが調整不足なのか、色が濃い印象を受けます(これについては後述)

バッテリー容量についてはCosmo Communicatorと比べるとわずかに減少(4,220mAh→4,000mAh)していますが、Cosmo Communicatorはサブディスプレイ機能を利用すると非常にのバッテリーの消耗が激しくなる仕様のため、この問題がないことで、Astro Slide 5Gの方が圧倒的に本機のバッテリーもちが良くなっています。(ちなみにサブディスプレイ機能を切ると逆転します)

スペック面に関しては(SoCはクラウドファンディング立ち上げ当初よりも若干のグレードダウンがされたとはいえ)、不満を感じることのない強化がされていると思います。

端末の全体的な能力を計測するベンチマークアプリ「PC Mark」で、それぞれ3回ずつ計測した結果も用意しましたので、こちらもご覧ください。


「PC Mark」での3回分の計測スコア(左側がAstro Slide 5Gで右側がCosmo Communicator)

スマホメーカー各社のフラグシップやゲーミングモデルなどと比べると低いスコアではあるものの、現行のミドルレンジ〜アッパーミドル級スマホ並みの数値となっており、メーラーやテキストエディタやオフィスアプリなど、本機で主に利用するであろうアプリはかなり快適に動作するはずです。Cosmo Communicatorから比べるとAstro Slide 5Gのスコアは微増にとどまっていますが、画面解像度が上がり、より広い画面が使えるようになったうえでのスコア上昇なので、実際に使ってみても不満は感じないはずです。

【キーボード形状がちょっと違う】
さぁ、ここからは重箱の隅をつつくような比較(汗)ですよ!プラネットコンピューターズがこれまでリリースしてきた端末には本格的なキーボードが搭載されており、Astro Slide 5Gにおいても最大のアピールポイントとなっています。本機のキーボードは先代のCosmo Communicatorのものを踏襲しており、同じサイズのキーピッチ(メインのキー)、ほぼ同じキーボード配列とキーマップ(日本語モデル)となっていますが、実は一部のキー形状が微妙に異なっています。


画像内下側がAstro Slide 5G。Astro Slide 5Gは本体筐体が角ばっていないため、四隅のキーボードがラウンドしているほか、「Shift」や「Ctrl」キーが若干、横に長くなっている。

【スピーカーの位置が違う】
Astro Slide 5G、Cosmo Communicatorともにキーボードを出した状態(つまり横向き)を基準に外部スピーカーが配置されていますが、Astro Slide 5Gは正面側、Cosmo Communicatorはディスプレイ側の両側面にスピーカーがくるようになっています。

Cosmo Communicatorのスピーカー位置(左側)。同じものが右側面にもあります。


Astro Slide 5Gは正面にスピーカーが配置されているものの、キチンとステレオで聴けるため、特に問題はなさそうです。(個人的には正面から聴けるAstroの方が好みですね)

【実際に使ってみて気が付いた良かった点】
・使いやすい物理キーボードは健在
本機のキモの部分となる物理キーボードですが、その打ちやすさはバッチリです。もっともCosmo Communicatorの時点で既に十分すぎる完成度だったので、そのまま踏襲している本機のキーボードも文句の言いようがありません。このキーボードがここから進化するとしたら、本体が大型化し、キーピッチがさらにノートPCのものへ近づいたときなのではないかと思います。

・スマートフォンとなったことで、メイン機としても何とか使っていけるようになった


物理使わないキーボードをシーンでも一通りのことができるのはやっぱり便利

キーボード搭載スマホが大好きな筆者ですが、それでもキーボードを出さずに使いたいシチュエーションは少なくなく、タッチパネル操作のみで完結できるのは便利です。

個人的には座ってじっくりメモをとったりする際にはキーボードを利用しつつ、電車での移動などのときにはキーボードを出さずにそのまま使うといったことができるのはいいですね。

・qi対応はやっぱり便利
プラネットコンピューターズ製の端末としてはAstro Slide 5Gになって初めてqi(非接点充電)に対応しています。

本機はCosmo Communicatorから引き続き、USB(Type-C)端子を2基搭載(これも筆者が気に入っている本機の特徴の一つなのですけど)していますが、qiに対応したことで、qiで給電しながらさらに2つの外部デバイス(USBメモリやマウス、その他のUSB接続機器)が利用可能なため、本機の未実装機能が実装されれば、さらに活躍の幅が広がること請け合いです。

【実際に使ってみて気が付いた気になった点】
・現時点での未実装機能がたくさんある
前回の記事でも触れていますが、現時点(2022年3月時点)で搭載を謳っていたキーマッピングアプリのほか、HDMI接続による外部画面出力機能などはまだ未実装のため、本機の魅力と機能を完全に楽しむことがまだできない状態となっています。

特に外部画面出力機能はパソコンライクに本機を利用するのに大変便利な機能でもあるので、早いうちにアップデートを配信して欲しいところです。

・カメラ機能がシンプル過ぎる


潔いにもほどがあるAstro Slide 5Gの標準カメラアプリの画面

先代のCosmo Communicatorもそうだったのですが、カメラアプリが必要最低限というか「そのまま撮るだけ」のシンプルさで、HDR撮影の設定は可能なものの、AIの画像補正といったものは一切なく、撮影は「静止画撮影」と「動画撮影」のみで撮影モードも「標準」と「長時間露光」だけです。(長時間露光は夜間の撮影に使用します)

公式では本機のアピールに大々的に「ソニー製センサーを採用した4,800万画素カメラ」の採用を謳っているだけにもう少しカメラアプリは頑張ってほしかったところです。

それと、カメラ撮影時、スクリーンショットのどちらも大きい音がなってしまうため、静かな場所でのカメラ機能の利用には注意をする必要があり、この点も気になるところです。(どれだけ音量を落としても、サイレントモードに設定しても必ず大きな音が出ます)

その代わり、シングルカメラなのでサードパーティ製のカメラアプリとの相性は悪くなく、別途インストールしておくといいかもしれません。

・樹脂筐体になったため、剛性や強度に若干の不安がある
これまでプラネットコンピューターズがリリースしてきたGemini PDAやCosmo Communicatorは金属筐体を採用し、かなりガッチリとした手触りでしたが、本機は樹脂筐体に変更されています。(そのおかげで本体重量は微減している)

あまり重量のあるスマホも使いにくいとは思うので、外装の素材変更についてはあくまでも「筆者個人の感想として気になった」というところです。

・プリインストールのアプリや各種設定などの本機独自の部分に日本語化されていないところが多い


ソフトウェア更新の画面(上側がAstro Slide 5Gで、下側がCosmo Communicator)。Cosmo Communicatorでは日本語化されていた部分や項目も英語のままのものがいくつかある

これも前モデルのCosmo Communicatorからそのまま残っている部分なのですが、プラネットコンピューターズ製のプリインストールアプリやAstro Slideの独自設定などのUIが日本語化されておらず、英語のままになってしまっています。

英語表記でもなんとなくわかる人にはそれほど大きな問題ではないのですが、これから広く展開していくのであれば、国内向けにはなるべく日本語化を進めていったほうがいいかと思います。

特に、今回のAstro Slide 5Gはこれまで日本語で表示されていた部分まで日本向けローカライズがなされていない部分もありましたので、なるべく早いアップデートでの改善に期待したいところです。

【まとめ】
・やっぱりキーボード搭載スマホは便利!ただし今は未完成な部分もあり…
キーボードの入力に慣れている人とそうでない人で大きく評価が割れるであろう、Astro Slide 5G Transformerですが、やはり長文の作成やPC用のメールなどには物理キーボードは非常に有用で、特に本機のようなスマートフォンに分類されるモバイル端末にもかかわらず、実用性の高い大きめのキーボードがあるのは大変に便利です。

特に普段は通常のスマホとして使いつつ、スライド式のキーボードを引き出して利用するスマホはウィルコムの往年の名機「W-ZERO3」(特に初代モデル)を使っていたユーザーには本当に刺さる1台となるでしょう。

一方で、ヒンジの形状が独特なため、片手ではスライドさせづらかったり、金属製筐体から樹脂製ボディになるなど、好みの分かれる変更がされている部分もあります。

ローカライズが不十分な部分やアップデート待ちの未実装機能もいくつかあるため、「今すぐ買おう!」とは現時点では言いづらいのですが、キーボード搭載スマホユーザーは買って絶対損なしな一台だと思います。プラネットコンピューターズのホームページでは現在プレオーダーの受付もおこなっているので、是非ともチェックして欲しいところです。


あんまり細かいこと言っても仕方ないんですが、キーボード出してカフェや出先でのんびりと文字起こしができる。これができるのが本機の醍醐味であり魅力なのです。

それでは、最後に筆者の手元にあるキーボード搭載スマホ(でないのも含む)たち集合写真をもって本記事を締めたいと思います。

今となっては確かにスマホの王道を行く端末ではないかもしれませんが、それでも今のメインストリームをいくスマホたちには持ちえない魅力と能力があるのです。

今後、展示会などで目にする機会があれば、是非とも一度触れてほしい魅力に溢れたスマホであることに間違いはありません。


筆者が愛用してきた(現在も愛用しているもの含む)キーボード搭載のスマホたち。キーボード端末はいいですぞぅ!

記事執筆:河童丸

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(引用元:livedoor news)

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