小さな自律型ロボットカー「JetBot」は、2019年の3月、NVIDIAがサンノゼで開催した世界最大級のAIカンファレンス「GTC 2019」で公開され、その後も世界中のDIYコミュニティで大きな注目を集め続けている。
JetBotは、NVIDIAがGTCで発表した小型ながらパワフルな組み込み用AIコンピューター、 「NVIDIA Jetson Nano」を活用し、AIの開発を気軽に体験するための教材プロジェクトだ。NVIDIAは、クリエイター、学生、開発者が新たなイノベーションの波を生み出しやすいよう、Jetson Nanoの開発者キットを手の届きやすい価格で提供している(日本円で約1万2000円前後)。
Jetson Nanoを使ったAIアプリケーションの分かりやすいレファレンスモデルとして、NVIDIAは、ディープラーニングによる認識技術から、モーターの駆動などを含めた制御技術も学ぶことができる、自律型ロボットカーの制作方法をGitHub上で公開した。
実践的で専門的な知識を修得するための専門教育に力を入れている宇都宮大学では、JetBotにいち早く注目し、世界で初めて、JetBotをベースとした組み込みシステム向け学習教材の開発、ならびに、これを利用した授業を実験的に導入することを決めた。
オープンソースハードウェアの製造・販売を手掛ける福島県発のスタートアップであるFaboは、IoT機器の製造やそれを用いた教育を、これまで宇都宮大学と共同で行っており、今回の授業に向けてロボットカーの設計、およびサンプルコード提供とキット化をした。NVIDIA Japanは、Jetson Nanoに関する技術情報を提供しているほか、国内外における最先端のロボティクス分野のAI研究や社会実装について、今月学生に向けて講義も実施した。
宇都宮大学大学院 工学研究科 の伊藤篤教授は、以下のように述べている。
「宇都宮大学では常に最先端の組み込みソフトウェア技術に着目し、これまでも携帯電話を題材とした組み込みシステム教育を産業界とともに推進してきました。これからはさらにAI時代を見据えた教育が必要となります。NVIDIAのJetBotは、学生が実際に手を動かして、AIで何ができるかを学ぶことができる、理想的な教材です。本校では、今回の試みで得られた知見を広く公開し、多くの大学、高専、高校などで利用可能とする予定です」。
宇都宮大学では、前期授業の前半でAIの基礎知識を学び、その後、2019年6月13日より、AIロボットカー構築の授業が開始された。5週間で、AIロボットカーの自律走行を可能とする予定だ。
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(引用元:livedoor news)