東京五輪のチケット第一次抽選が終わり、「全落祭り」と称されるほどにチケット入手は困難な状況となっています。筆者個人も「開閉会式+19競技」で数十万円規模となる申し込みを行ないましたが、フェンシング女子フルーレ団体の予選セッションが1枚当選したのみ。厳しい争奪戦となりました。
そんななか、組織委員会では「第一次抽選で申し込みを行なったが、すべて落選となった人」を対象にセカンドチャンスと称する抽選販売を行なうとしています。第一次抽選で申し込まなかった人や、1枚でもチケットが当選した人は対象外となり、「全落選」の人を救済することを目的としたものであるとのこと。「全落選」の救済措置であることから、「第一次抽選の余り」「キャンセル分」などが対象とされ、予選セッション中心での販売となるとされています。
一見して「温情措置」とも言える施策ですが、はたしてこのセカンドチャンスは本当に公平なものと言えるのでしょうか。
第一次抽選の際には「これが最後の抽選で秋からは先着順販売になる」という前提での応募となっていました。先着順となればどうしても混乱や混雑は否めず、開閉会式はもちろん競泳・体操・柔道といった人気競技や決勝戦等のメダルマッチのチケットを確保するには第一次抽選での当選に懸けるしかないという状況でした。筆者個人も申し込み枠の多くをそうした人気セッションに割き、案の定落選となりました。それでも、ある程度の枠を「ここなら当たるかもしれない」という競争倍率が低めと見込まれたセッションにも割いたことで1枚当選することができたのです。
しかし、もしも「全落選ならばセカンドチャンスがある」と知っていたならどうだったでしょうか。すべての枠を人気が見込まれるセッションに充て、全落選となった場合はセカンドチャンスに懸けるというやり方もあったはずです。筆者は「自分の裁量の範囲で、あらかじめ倍率が低めと見込まれるセッションにも限られた応募枠を充てた」わけですが、これはすなわち「人気が見込まれるセッションへの応募機会を自ら放棄した」ということでもあります。
セカンドチャンスの方式を聞いて思うのは「ならば、全応募枠を開閉会式とメダルマッチに充ててもよかったな」ということ。「第一次抽選で開閉会式の2枚だけ応募して落選した人」がセカンドチャンスを得られて、「第一次抽選で第2希望まで含めた全応募枠60枚に応募して1枚だけ当選した人」はセカンドチャンスを得られないというのは不公平でもあり、本当にチケットを求める人にチケットが行き渡らないという意味で不十分な方式ではないでしょうか。
たとえばセカンドチャンスでは「何らかのチケットが当選している人も応募可能」「ただし応募できるのは第一次抽選で応募済かつすべて落選した競技もしくはセレモニーに限る」としてはどうでしょうか。射撃が大好きで、射撃のメダルマッチに応募していたけれど落選した人が、セカンドチャンスでは改めて射撃の予選セッションに応募できるといった形式であれば、これは文字通りのセカンドチャンスとなるでしょう。
遺失機会への配慮も含めて本当に「公平」と言えるのか。
単に不満の声をなだめるための付け焼刃になっていないか。
東京五輪・パラリンピックに強く賛同し、心待ちにしている都民のひとりとして、組織委員会には改めて熟慮を強く求めたいところです。
・文=フモフモ編集長
(引用元:livedoor news)