AIが注目されてはや数年、実際に実務にAIを導入する企業も増えてきた。今後は、AIを自社サービスの中に、どう組み込むのか? AIを導入して業務をどう改善するのか? といった具体的な業務への落とし込みが重要になってくる。
こうした中でも、「AIは、未だになんだかよくわからない」、「AIを導入したってコストが無駄になるだけだ」、「そもそもAIがうちの業務に向いてるとは思えない」などという心配からAI導入を躊躇している企業はまだまだ多い。
このように期待と不安が入り混じったAIだが、日本マイクロソフトが、同社とIDC Asia/Pacificが共同で実施したAIに関する調査「Future Ready Business:AIによるビジネスの可能性について」の結果を公表した。現在および奨励的にAIを導入するか迷っている企業の人は要チェックだ。
同調査において判明した重要なポイントは以下の3点。
■『Future Ready Business:AIによるビジネスの可能性について』調査の主なポイント
・日本において、AIの取り組みを開始した企業は33%程度
・2021年までに、ビジネスリーダーは、AIがイノベーション(革新的な製品やサービスの開発、提供)と従業員の生産性の向上を2倍以上に加速すると期待
・AI活用の成功の鍵は「従業員のスキル」、「インサイトを得るためのツール」、「組織文化」の3つ
図1:イノベーション推進と従業員の生産性向上におけるAIへの期待値(現在および3年後)
■AIの重要性は理解できても実際に取り組む企業は3割程度
調査対象のビジネスリーダーの約4分の3が、自社の競争力強化にとってAIが重要であると述べるいっぽうで、AIに関する取り組みを開始した日本企業はわずか33%に過ぎないことが判明した。
AIを理解している企業は、もうずっと先を走っているが、残りの67%の企業は、AIの何たるかを完全には理解できていない。AIへの理解が進んでいない人がまだまだ多いことがわかる。
ただ、すでに自社でAIを採用した企業は、その有効性を確認し、2021年までに自社の競争力を2.5倍に向上できると期待しているという。
■AIの採用理由ベスト5
企業におけるAI採用理由のベスト5は次の通り
1.競争力の強化(回答者の22%が最も重要な要因と回答、以下同)
2.イノベーションの加速(18%)
3.従業員の生産性向上(18%)
4.顧客エンゲージメントの向上(14%)
5.利益率の向上(14%)
■企業がAIを導入することで得られるメリットとは?
AIを自社に取り込むことで、どういった効果が得られるのか、といったことは、上記のAI採用の理由から、推測できるだろう。「競争力を強化したいからAIを導入する」というわけだ。
IDC Japanソフトウェア&セキュリティ/ITスペンディング グループディレクターの眞鍋 敬氏は、AIを導入することについて次のように述べている。
「現在、企業はAIを導入することによって、11〜14%のビジネス改善を期待しています。さらに3年後には少なくとも2.1倍の向上を期待しており、AI導入によるビジネス改善の効果はイノベーションの加速、利益率の向上、従業員の生産性向上の分野で最も高い向上が期待できると予測しています」。
図2:AI活用によるビジネス改善効果の期待(現在および3年後)
■従業員のスキル、ツールおよび組織文化がAI導入成功の鍵
また、同調査では、従業員のスキル、ツールおよび組織文化がAI活用を成功させる鍵であることが明確になったとのこと。
「企業のリーダーは、AIを自社のコア戦略とし、組織文化を育成する必要があります。AIは短期に効果を感じられなくても、長期的視点から継続的な投資を行っていくべきです。さらに、AI 活用のための開発、展開、管理のための人材育成、および適切なガバナンスを備えた堅牢なデータインフラストラクチャの構築が喫緊に求められます」(眞鍋氏)。
AIを採用しているビジネスリーダーが直面する最も重要な課題は、
1)従業員のAIに関するスキルや人材育成プログラム
2)AIを活用するための分析ツールやインフラストラクチャー
3)AIを十分に活用できる組織文化
上記の3つであるという。なお、今回の調査対象となったビジネスリーダーと従業員の多くが、リスクの許容、積極的イノベーション、組織境界を越えた協業といった要素が現時点では十分でないと考えているとのこと。
図 3:日本の組織が直面するAI導入の課題
AI導入の意思決定権を持つビジネスリーダーは、イノベーションと継続的学習が組織の中核となる新たな文化を取り入れていく必要があり、これにより、俊敏性、適合性、そして、成長への礎を築くことが可能になるという。
■日本企業におけるAI導入の重要なポイント
同調査の結果から、日本企業において、AI導入にまだ手を付けていない企業は、まず「AI導入はやってみたいが、どういった風に導入したらよいのか?」「AIを事業内のどこで活用するべきなのか?」といった点を意思決定権を持つリーダーたちが考え、導入を促進することが必要だ。
そして、導入された従業員側は、「AIに関するスキルアップ」「AIに関する人材育成プログラムへの参加」といった積極的な行動が必要だということがわかる。
なお、より詳細な情報は、レポート「Future Ready Business: AI によるビジネスの可能性について」(https://aka.ms/AI_ReportJapan)を参照するといいだろう。
■Future Ready Business: AI によるビジネスの可能性について調査概要
調査対象および人数
・ビジネスリーダー(※1):1605名
・従業員(※2):1585名
※日本ではそれぞれ150名、152名が回答。
※1:250人以上の要員を擁する組織で意思決定権を持つビジネスリーダーとITリーダーが調査対象。
※2:組織の意思決定には参画していない回答者。
調査対象地域:アジア太平洋地域の15か国・市場:オーストラリア、中国、香港、インドネシア、インド、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、スリランカ、台湾、タイ、ベトナム。
調査対象業種:農業、自動車、教育、金融、政府、ヘルスケア、製造、小売、サービス、通信/メディア。
■ニュースリリース
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(引用元:livedoor news)